2016年11月20日日曜日

アルツハイマー病になりたくなければ、コレステロールを食べなさい!

最近、日本でも低脂肪食品が増えてきました。
低脂肪の牛乳やコーラなどがありますね。
多くの人が健康のことを考えて、低脂肪食品を選んでいるかもしれません。


最近のリサーチによると、低脂肪食品は脳神経細胞の変性を引き起こす可能性があることが報告されています。
脳神経細胞の変性というのは、神経細胞の老化減少のことです。
例えばアルツハイマー病があります。

アルツハイマー病は急激に増えています。
もしかすると、低脂肪食品の普及と何らかの関係があるのかもしれません。
アメリカ人の統計ですが、1980年には0.3人/100,000だったのが、2006年には20人/100,000にまで増加しています(なんと60倍以上!)。
そして、アルツハイマー病は今後さらに急増すると考えられています。

1960年以前、アルツハイマー病に関する医学的文献は皆無でした。
それは、アルツハイマー病に関する診断技術に起因しているとする学者もいますが、この疾患が示す症状に気づかないということの方が難しいです。
考えられるのは、確実に昔はアルツハイマー病に罹る人が少なかったということではないでしょうか?

アルツハイマー病は60歳以上に見られる疾患ですが、40代、50代の人にも発症します。
アルツハイマー病の症状の一つに痴ほうがありますが、これは老化現象の一つではなく、明らかに病気の範疇に入ります。

残念ながら、アルツハイマー病の治療法は未だ確立されていません。
それは、はっきりとした原因がわかっていないからです。
しかし、近年の急激なアルツハイマー病患者の増加は、身の回りの環境に何らかの原因があると考えてもおかしくないでしょう。

アルツハイマー病は第三国よりも産業の発達した国の住人に多く認められます。
そのことからも、我々の生活習慣や食事などがアルツハイマー病の発症と関連しているのかもしれませんね。

数十年の間に食環境は大きく変化しています。
我々は以前に比べ、飽和脂肪酸を多く含む食品よりも、低脂肪、低コレステロールの食品を食べるようになりました。
低脂肪乳や低脂肪チーズ、ノーカロリーのコーラを選び、卵は黄身にコレステロールが多いからと食べなくなりました。
それにも関わらず肥満(メタボリックシンドローム)は増え続けています。
興味深いのは、低脂肪食品が市場に出回るようになってから、アルツハイマー病の患者数が急増している点です。

脂質(コレステロールも含む)は脳みその60%を占める栄養素です。
我々の身体には体重の2%のコレステロールがありますが、脳みそにはその内の25%(!)が分布しています(1)。

我々の身体を構成している細胞の膜(細胞膜)は、脂質で出来上がっています。
つまり、脂質は細胞の主要な構成要素です。
また、コレステロールはホルモンバランスを整える役割を持っています。
従って、細胞がその機能を正常に維持するためには、脂質やコレステロールは必須の栄養素となります。

体調が悪い状態というのは、突き詰めれば細胞の機能に何らかの異常が起きている状態です。
細胞が健康ならば、内臓も健康ですし、身体全体も健康な状態です。
つまり、細胞の健康こそが、身体の健康状態を左右しているわけです。

コレステロールには、神経伝達にとって必須の栄養素です(2)。
また記憶力にも関わっています。さらに、コレステロールが不足すると、神経組織の修復に不具合が生じ、変性が進行します(3)。
正常値より10%低いだけで、神経伝達が阻害されることがわかっています(4)。
このような状態の時、記憶力や認識能力は低下します(5)。

Johns Hopkins大学で行われた研究をご紹介します。
この研究では392人の被験者を18年間に渡り追跡調査しています。
全ての被験者は70歳以上です。
毎年、これらの被験者のコレステロール値と認識能力について調べたところ、コレステロール値が高い被験者ほど認識能力テストでハイスコアを獲得していたのです!(6)。

また、別の研究では、84歳以上の185人の被験者を使い、コレステロール値と記憶力の相関性について調べています。
それによると、コレステロール値が高いほど、記憶力が高かったと報告されています(7)。

さらに、コレステロール値が低い被験者にアルツハイマー病が多かったという研究論文も多く見受けられます(8、9)。
これらの研究報告から推測できることは、コレステロール値とアルツハイマー病の発症には、強い相関関係があるかもしれないということです。
コレステロールを摂ることに抵抗感を抱いている人は多いでしょう。
しかし、最近の研究でも卵の摂取と血中コレステロール値には全く相関性がないことが報告されていますし、脂質の摂取量と心臓病リスクにも関係がないと言われています(10)。

しかし、高脂肪食が決して健康に良いというわけではありません。”適度”な脂肪摂取が健康にとっては、必要であるということです。何事もバランスが大切です。


 

参考文献

  1. Bjorkhem, I. and Meaney, S. Brain cholesterol: Long secret life behind a barrier.Arteriosclerosis Thrombosis and Vascular Biology 2004;24:806-815.
  2. Pfrieger, F.W. Role of cholesterol in synapse formation and function Biochem Biophy Acta 2003;1610:271-280.
  3. Klopfleisch, S., et al. Negative impact of statins on oligodendrocytes and myelin formation in vitro and in vivo. J Neurosci 2008;28:13609-13614.
  4. Goritz, C., et al. Role of glia-derived cholesterol in synaptogenesis: new revelations in the synapse-gila affair. J Physiol Paris 2002;96:257-263.
  5. Tong, J., et al. A scissors mechanism for stimulation of SNARE-mediated lipid mixing by cholesterol. Proc Natl Acad Sci USA 2009;106:5141-5146.
  6. Mielke, M.M., et al. High total cholesterol levels in late life associated with a reduced risk of dementia. Neurology 2005;64:1689-1695.
  7. West, R., et al. Better memory functioning associated with higher total and low-density lipoprotein cholesterol levels in very elderly subjects without the apolipoprotein e4 allele.Am J Geriatr Psychiatry 2008;16:781-785.
  8. Lee, D.Y., et al. Combination of clinical and neuropsychologic information as a better predictor of the progression of Alzheimer disease in questionable dementia individuals.Am J Geriatr Psychiatry 2006;14:130-138.
  9. Howland, D.S., et al. Modulation of secreted beta-amyloid precursor protein and amyloid beta-peptide in brain by cholesterol. J Biol Chem 1998;273:16576-16582.
  10. Siri-Tarino, P.W., et al. Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. American Journal of Clinical Nutrition 2010;91:535-546.




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